鮮魚や加工品を扱う卸業者がひしめき合う、塩釜水産物仲卸市場。プロの料理人から観光客まで多くの人で賑(にぎ)わう市場ですが、今、大きな岐路に立たされています。理由は、高齢化と後継者不足。昭和41年の開業時には367あった店も、今は100を切るほどになっています。
水産物の魅力を間近に伝えられる施設なのに、なくしてしまうのはもったいない。そんな想いで立ち上がったのが「塩釜仲卸市場ブリッジプロジェクト」。市場で働く23人の若手が集まり、想いを語り合い、これまで行われていなかったセールやイベントなどを企画しています。最初は遠巻きに見ていたお店の方々とも、積極的にアドバイスをいただけるほどの関係性に。「今では、『いつでも声かけろよ』と言われるまでになりました」とリーダーの今野さんは笑います。
「高齢化、若手離れと、この市場は社会の縮図。どんなふうに考え、どう動けば、未来を創造できるのか。子どもたちに伝えられることはたくさんあります」
そのひとつとして今後検討していきたいのが『子ども市場』。
「子どもたちが自分で売り方を考え、値段を決めて、商品を売るという体験を通じて、物を売る楽しさを知ってもらいたいです。そしていつか、ここに店を出して欲しいですね」
塩釜水産物仲卸市場は、店舗数と種類の多さでは東北最大級の水産物仲卸市場で、一般のお客さんも気軽に買い物ができる、全国でも数少ない市場。東さんは、「このような恵まれた環境は中々ないので、将来は水産物だけでなく、野菜やパンを売ったり、色々なジャンルのお店を増やして、総合的な市場にしていきたい」と夢を語ってくれました。